もし、村上春樹があいきょーJr&3代目寿司ドルJr.のライブレポを書いたら


【はじめに】 


12/9に観たアイドル教室シアターでの

<あいきょーJrと3代目寿司ドルJr.合同公演>の

村上春樹風バージョンです。


MURAKAMI氏をリスペクトしている為、

実験的にやってみたいと思ったのがきっかけです。


<こんなの春樹じゃない!>

などのクレームは一切受け付けられませんのでご了承願います。 


前回アップしたライブレポはこちらから是非、ご覧下さい!

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その日、僕は栄の街に降り立った。 


正確には<降り立つ事があらかじめ決まっていた> のかもしれない。 


話は数時間前の事だ。 


僕は朝6時に目を覚まし、シャワーを浴び、髪を乾かすとコンタクト・レンズを付け、

MILK BOYのパーカーとWEGOのスカンツ・パンツを身に付け、黒のロング・コートを

羽織り、ファーのハットを被った。 


朝の東京はひどく電車が遅延をしており、駅のアナウンスは繰り返し、

明け方に起こった人身事故の影響でダイヤが乱れている事を伝えていた。 


会社に向かう人達はまるで人工知能の様に

無機質な表情で時計を見てばかりいた。 


この中の何人が

<どんな【理由で】その人は電車に飛び込んだのか?>と考えているのだろうか。 


そんな事が頭をよぎったが、

僕も僕で東京駅に着くと、やれやれ、と思いながら、

時計を確認しスモーク・チキンのサンドウィッチと

ブラック・コーヒーを買いバスに飛び乗った。


窓から、各地に散らばっていく止まっているバスに向かい手を振る人達を

眺めながらサンドウィッチをほおばり、コーヒーで流し込んだ。 


バスが動き出すと、バス停の彼等は大きく手を振り、バスに乗っている彼等もまた手を振り返す。

それは、来週また会って飲もうという風にも見えるし、永遠の別れにも見えた。 


オーケー、話を戻そう。 


1年数ヶ月ぶりに

降り立った栄の街は変わらない姿で賑わいを魅せていた。 


僕はホテルにチェックインし、

近くにある本屋のMARUZENに入った。 


7階建てのその建物は各ジャンルごとにフロアが分かれており、 

いささか時間のない僕は上から下まで素早く見て回った。 


それはまるで、競歩大会に向けてのトレーニングをしている様にも見えた。 


時間になると、僕は新栄町方面へ歩き出した。 


歩きながら、この1年数ヶ月間の出来事と 街の風景を重ね合わせていた。 


貯金の額や、重い空気が漂い続けた芸能界の事や、寝た女の子の数や

考え出したらキリがなかった(ここには書けない様な事も考えていた) 


 気がつくと、僕はある建物の前に立っていた。 


 ___【寿司処 五一】 


その文字を見て、僕はひどく落ち着いた気分になった。 


ビル・エヴァンスの『ワルツ・フォー・デビー』の

レコードに針を落とす時の気持ちに似ていた。 


店内に入ると、

カウンターには白のトップスを着た美しい女性が立っていた。


愛沢りこ。りこぴさんだった。


「あら、ハマジュン。よく来たじゃない。今日はありにゃん、いないわよ」 

と彼女は僕に微笑みかけた。 


<ありにゃん___> 

僕は聴こえるか、聴こえないか分からないぐらいの声で

<<愛すべき推しの名前>>を反復した。 


僕はりこぴさんに、さっき名古屋に着いた事、本当は寺沢ナイトが今夜

あると思い、事前にホテルとバスを予約してしまった事、りこぴさんが美しすぎる事

などをまるで次々にレコードを変えていくDJの様に話まくったが、このまま続けていると

4時間はノン・ストップで話してしまいそうだったので、切り上げ、そのまま階段へ向かった。


4階に上がると、

そこには、アイドル教室の元メンバーの新垣ひかりちゃんもいた。 


「ひかりん、元気そうだね、安心した」僕は彼女に言うと 


「元気だよ!」と笑う彼女。 


ステージで汗を流し、踊り、輝いていた

アイドル・新垣ひかりそのままの姿であった。 


ベロア素材の赤い椅子に座ると、

僕は文庫本を開きながら、開演を待った。 


やがて、電気が消え、ステージにはあらゆる色彩の照明が付き、 

スピーカーからはSEが流れ始めた(どこのメーカーのスピーカーかは分からなかった) 


3代目寿司ドルJr.の二人が勢いよく飛び出してきて、 

<あいきょーJrと3代目寿司ドルJr 合同公演>の幕が開いた。 


歌い踊る近藤みこの姿を見ながら、

僕は今、東京という街を離れ、

名古屋に来ているんだという事を再確認した。 


ツイッターではリプなどで絡んではいたが、今、

目の前に近藤みこがいる現実にいささか、

混乱したが、やがて、その表情の豊かさに心を惹かれていった。 


アイキョー探偵のテーマでは

芹澤ちはるが会場中を走り回り観客を煽った。


僕はまるで、パンク・ロック・ミュージシャンの

コンサートに来ている様な感覚に陥った。 


3代目寿司ドルJr.のライブが終わると、

再び、SEが流れ、あいきょーJrのメンバーがステージに現れた。 


この日はひどく偶然にルームウェア公演というコンセプトが

おかれており、メンバーは全員、様々な柄やキャラクターが 

描かれているルームウェアを着ていた。 


僕の目はメンバーの森咲ちあきと藤りんのを交互に見ていた。 

この世界には<<天使が存在しているという事>>が証明された瞬間を目撃した。 


MCでは

<2メートルの細いストローで飲み物を誰が一番多く飲めるのか>

という企画が行われた。


 僕の位置からは、その<<飲み物>>は見えなかった。 


もしかしたら、そこに飲み物は存在していなかったのかもしれないし、 

ある人はその飲み物は存在したと言うのかもしれない。 


僕はその光景を見ながら「どれくらいの肺活量が必要なんだろう」 

とスポーツ・ジムのトレーナーの様な事を考えていた。 


MCが終わると、再び、ステージが始まり、ラストの 

「We can Let`s go」では会場中がタオルを回し、とてつもない一体感が生まれた。 


まるで、ウッドストックで革命を起こそうと

信じ集まったアーティストと観客の様だった。 


特典会では、森咲ちあきとの接触を試みた。 


 「ブログ、読んでるわ」 


 彼女はそう僕に言い微笑みながら、色紙に似顔絵のサインを書き始めた。 


「ツイ・キャスでも言ってくれたね。こうやって会えて本当に嬉しいよ」と、僕は答えた。 


もっと、<<何かを>>声に出そうとしたが、近くで見る彼女はあまりに

美しく、まるで、永遠の美を持ち続けるパリの美術館に飾られた彫刻の様だった。 


ブログを読んでくれている事に感謝をのべ、 

僕はもう一度、全メンバーを見てから、会場を出ようとすると、 

PAブースには、アイドル教室のリーダーでもある堀梨恵がいて、

今夜のショーの音響と照明を彼女が担当していた事実を知った。 


きっと、妹達を見つめるその目は優しさに溢れていたのだろう。


勿論、厳しさもあっただろう。


それはまるで、ビートルズのメンバーをステージ

袖から見守るプロデューサーのジョージ・マーティンの

様だったのかもしれない。 


僕はビートルズの「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」

を口ずさみながら、五一を出ると、振り返った。 


 何とも言えない、寂しさが込み上げてきたのだ。 


しかし、同時に女の先輩に言われた言葉を思い出した。 


ある日、その先輩に呼び出され、新宿にあるジャス・バーDUGに行った時の事だ。 


先輩はカウンターでピスタチオの殻を剥きながら

色々な話をしてくれた。 


彼女はある日、

大手商社を突然退職し、世界を縦長のバッグ一つで回るバックパッカーになった。 


その日も小麦色に焼けた肌の先輩の足下には縦長のリュック・サックがあった。 


話の中で僕は、名古屋に悪くないアイドル・グループがいる事、 

そして、遠征して現場に行くと帰り道はひどく寂しさが込み上げてくる事を話した。 


すると先輩は 

 「アナタ、頭、おかしいんじゃないの?何、哀愁なんか感じているのよ! いい?アナタには

彼女達がいるし、彼女達にはアナタがいるの。また会いに行けばいいじゃない。そうやって、日本、世界に仲間を作っていくのよ。ワタシだってそうよ。ワタシだって、世界中に仲間がいるわ。だから、例え、こうやって、新宿でアナタと飲んでいたとしても、この瞬間、その仲間達が輝いていてくれるなら、こんな嬉しい事はないし、きっと向こうもそう思ってくれてるはずだわ。名古屋なら毎日でも行ける距離でしょ?ワタシなんか、週1でブラジルに行ってた事もあるのよ?それに比べれば羨ましい話じゃない。そんな哀愁に浸ってないで、何処かのバーで女の子でも口説いちゃえば良かったのよ」 


そう言いながら、ウォッカ・トニックをゆっくり飲んでいた。  


「そうなのかも知れません」と僕は答えた。


 僕はそんな先輩の言葉を思い出し、もう一度、五一を眺めた。 


 <<また、会いにくればいい>> 


悩みは簡単に解決し、哀愁に浸る、

自分にやれやれ、と思いながら、矢場町方面へ歩き出した。 


 「森咲ちあき____ちあ____」そんな言葉を反復させながら。 

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